鳥獣戯画 京都高山寺の至宝

最終日滑り込みで行ってきた。甲巻を見るのに140分待ち(!)というおぞましい状況ではあったが、これでも入場待ちはなかったし、天気にも恵まれたので先週ほど悲惨な状況ではなかったよう。これについては(文句を)後述。
内容としてはメインの鳥獣戯画だけでなく、高山寺から来ている他の絵も良かった。第1章の伝来図像も、平安時代のものはさらっと書いたわりとあっさり、流麗な感じのものから鎌倉時代の細密な書き込みと具体的で力強い表現へと移行していく様子がクリアに見られたように思えて(このへんは勝手に思ったことなので一般的な傾向かは不明だが)興味深かったし、「子犬」や「百光神立像」、「華厳宗祖師絵伝」なども良かった。
鳥獣戯画は、(素人だからかもしれないが)やっぱり甲巻の部分が面白かっただろうか。個人的には蛙の本尊や、体洗ってもらってリラックスしてる猿の顔とかが非常に気に入った。

さてここからが文句なのだが、いくら何でもこれだけの混雑に対して外にただ並ばせておく+中の待ちもただ立ちっ放しで並ばせるのみ、というのは流石に無策の誹りを免れないのでなかろうか。先週などは入場と甲巻見るのに合わせて5時間待ち、という状態もあったようだが、これほどの混雑規模になっているのなら、待つ場所を会場内にしない、番号制にするなどの対応などが必要なのではなかろうか。加えて会期間終盤で行われていた時間延長も18時まででは到底不十分で、夜の部をもっと長くするとかも必要だったように思う。
あと、今年の5月末の高気温や客層を考えれば熱中症の問題とかも大いにあるわけで、対応策が入場までの傘と水の配給のみというのは大分不安。中に入ってからもこれだけ待つことになると、美術館とはいえ全く水分補給ができない環境というのはあまりよろしくないのでないか。絵を保存するためのコンディションと、人間が長時間いるのに問題ないコンディションが違うのは当然なのだから、やはり人間用にあつらえた場所で待つ事が可能な仕組みなどが必要と思う。
美術館で絵を生で見る、という体験に(現代においても未だに)これだけの人が集まるという事実があるのだから、そこをいかにして不快さなく楽しめるようにして、より多くの人に来てもらえるようにする、というのは開催側のミッション(これは公共的な観点からも、ビジネス的な観点からも)と思うのだが、今の所そういった課題への対応が十分とはいえないという印象。改善が強く望まれる。