ニンジャバットマン
天気にせよ行事にせよ何かと気が滅入る季節である6月ではあるが、その中での精神安定要素の一つとして期待するところ少なくないものがあったこの作品(バットマンには詳しくないのだが)。
感想としては、ともすれば我に返って疑問符を浮かべてしまいそうになる摩訶不思議ストーリーをカバーして余りある、高レベルな映像と音楽のドライブ力の成し遂げた好作、という所になるだろうか(ねぷたでのヴィラン大名の紹介とか蝙蝠衆の里の件、レッドフードの件など(折に触れてポプテピピックが想起されつつも)素晴らしい出来栄え)。
それにつけても、スーパーインテリゴリラ(・グロッド)やハーレクインの印象深さといったところを抑えて全てを持っていくのが高木渉演ずるジョーカーで、まさに独壇場。とはいえ、映画でのジャック・ニコルソンのような得も言われぬ不気味さとかはなくて、どちらかといえば、(今回のメカラッシュも合わせて)ばいきんまん、といった所が印象としては近い。
後はやはりそれ以外の悪役の扱いが思いの外、という所はあるか。一応置き換える戦国大名はヴィランの特徴とちゃんとリンクさせるようにしているのだが、如何せん見せ場に乏しくて、誰でも良かった感じも相当にしてしまう。(戦隊ものとかでも赤以外はそんなもの、とか言ってしまえばそれまでだが)。ともあれ全体としては中々面白かった。
ZERO
出だしから一貫して予定調和的な世界が繰り広げられる、とばかり思っていたところ、見事に足元を掬われることに。してやられた感。
それにしても既に光る絵と擬音、間の独特さ。
ZERO―The flower blooms on the ring………alone. (上) (Big spirits comics special)
- 作者: 松本大洋
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/08/01
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「社会調査」のウソ
ともすれば結果だけが取り沙汰される「社会調査」についてはその妥当性が疑わしいものも多く、相当慎重かつ批判的に見ないとだめ、という本。
ためにならないことは無いのだが、本文で取り上げられる例などを見ていると、どちらかというと社会調査の手段の不備によるもの(それが報道などから得られる情報から透けて見える者)よりも、対象とそのドメインの性質に起因する問題へ想像力を働かせるところの方が重要(かつ自分にはそのあたりのある種社会調査の枠から見て「メタ」的なところの検討が難しい)、という話にも見えなくもなく。
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
- 作者: 谷岡一郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/06/01
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将棋界 20代の逆襲
高見新叡王誕生記念、ということで。
つい最近公開されたインタビュー、とても面白いので宣伝。
これを読むと、確かに応援したくなる。今回のシリーズはまくりだらけだった、とはいえ今後に期待したくなるところである。
で、(例によって)度肝を抜かれる、というかここまで言うのか、という感じで打ちのめされるのが次の永瀬インタビュー。
彼の語りは読み手にも覚悟を要求される節があるというか、こちらの精神状態が整っていないと読むのがきついところもあるのだが、本物のプロ意識(のあり方の一つの極値)をひしひしと感じさせられる。(院生のときに一部の人を見て感じた思いに近い)
それはそうと、これだけのことをインタビューで言わせる手腕、というものにも改めて驚く次第。これまでに本になったものは(悪い意味での内輪ノリが目立ち)それほど面白くない印象だったのだが、これは今の所大変面白く、今後にも大いに期待。