月を売った男
とある元ネタを知るべく、表題作とその後日譚の「鎮魂歌」のみ読むが、これも大変良い。こういう話だと、やっぱりいかに序盤でハリマンの「能力」を信じさせられるか、といった所が勝負かな、と思うわけだけど、成功していると思う。「夏への扉」のみで軽視しておりすみません、という他ない。
H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って
ウエルベックのラヴクラフトに対する、「この人は『こちら側』の人だ」という思いがガンガン伝わるような、入れ込みの書かせたる文章。これはこれで。
後装丁が格好良い。
邪眼は月輪に飛ぶ
素晴らしい。無駄がなく、かつ凝縮された熱気は凄まじい。
少女革命ウテナ
かねてから喉に刺さった骨的、というか気にはなっていたものであり、新装版が出たのを良いことに昨年末から読み始め、5巻まで(漫画版としての完結部分)読了したのだが、結果としては全く合わず。(アニメはもっと凄いのか?)
流石に筋にジャンプが有りすぎて、かつそれを補いうる仕掛けや登場人物もなし、とあっては読むのが困難、といったところ。終盤で見えるメッセージ的な部分にしても、流石にこれで何かが言えた、ということはないだろう、と言う気分になるのだが。(当時ですら、と思う)
ブレードランナー2049
正月休みに見。前作への強い思い入れがない事も手伝ってか、「確かに20年前プレステが出る前に見れば大喜びであったかもしれないが、FF7を知ってしまった身としては…」みたいなことを思っておった。ただ、音楽はべらぼうに良い。
スターウォーズ 最後のジェダイ
昨年末に見。今までの作品の暗黙の前提の悉くに対して、「それって別に自明じゃないですよね?」みたいな角度からのアプローチを行う作品。苛々する人がいるのも分からんではないが、個人的には大変あり。
戦場のメリークリスマス
2ヶ月ほど前に午前10時の映画祭で見。
大筋を一言で言うならば、遅れてやってきた少女漫画、という印象であり(本筋もそうだし、セリアスの過去の入り方のある種不思議な感じとかも凄くそれっぽい)、これだけであれば特筆すべきものはないのだが、(その意味でも)あまりに特異というか、独特の存在感を示しているのがビートたけしのハラ。彼によってこの映画が非典型的なものになっているという意味で、その寄与はとても大きい。