ボビー・フィッシャーを探して

ボビー・フィッシャーが世界チャンピオンになった後に訪れたチェスブームの中で、7歳のチェスの才能あふれる子供とその親が、栄光を夢見ながらチェスを中心に据えた生活を送る様子を描きながら、チェスというゲームの(知識の象徴と思われながらも実生活とは結びつかないことに由来する)因果さとそれでも尚存在する抗いがたい魅力に囚われてしまった数々の人々、幼い我が子に多くの夢を見る親の熱狂渦巻く学童大会の様子、そしてそれらの現実や、過度の期待、なにより勝ち負けのはっきりした世界の厳しさに直面しながら成長していく子どもたちの様子を(親の視点からではあるが)描いてみせた本。
人生においてチェス(ここはより一般的に、およそ実社会で役には立たないこと、認められないこと、としてもよい。チェスの場合は勝負が明確につくのでより苛烈になるが)をやる、ということ、子供に何かを教える、学ばせるということ(そしていずれ子供は自ら歩き出すということ)のかなりの部分が書かれていると感じる。非常に良い本。

ボビー・フィッシャーを探して

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