暴政

例によっての安直思考で、「ブラックアース」を読む前に薄いこちらから読んでおこう、と思ったわけだが、流石にナイーブに過ぎるというか、あまり特筆すべき中身はなかった感じ(別に妙なことを言っている、というわけではないが)。反省。

 

暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン

暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン

 

 

 

不在の騎士

出張の機内で読む。元ネタらしき「オルランド」は知らないので何ともだが、全体を見れば実に20世紀的(というかラテンアメリカ、ネタバレを恐れずに読了時に脳裏によぎった特定の作品を言えば「エレンディラ」に似ているのでは?)。

 

不在の騎士 (白水Uブックス)

不在の騎士 (白水Uブックス)

 

 

 

「われわれの祖先」三部作をこれで読んだわけだが、個人的にはやはり「木のぼり男爵」が抜けている印象。テーマからにして、というのはあるのだが。

ただそれだけではなく、話の出来というか、表現が直裁的でないところも重要と思っていて、具体的には三部作に共通してテーマとして扱われる、「相反するもの」(「まっぷたつの子爵」では善と悪、「木のぼり男爵」では聖と俗(陰者的というべきか、コジモを見る限り、痛快さ、イノセンス的な面もあわせて「非俗」というべきな気もするが)、「不在の騎士」では精神と身体、あるいは概念と実体というべきか)についても、「子爵」、「騎士」では一応のオチとしてはいわゆる「止揚」的な所に至る訳だが(実際はそれだけではないが)、「木のぼり男爵」は必ずしもそういった明快な格好での統合が志向されない所も好みの一因。

 

-2017.11.25

バタバタし通しでまた1ヶ月ほど放置してしまったが、備忘のため。

昨年に続き、出張であった。昨年は極寒の地に行く羽目になったが、今年は場所、時期共に大分過ごしやすい時期に行けて良かった。ただ、ベルギー、オランダ、ドイツなどを行き来する、例によっての超強行軍であったが。

(通訳の方曰く)この時期には珍しく天気にも恵まれ、非常に快適に過ごすことが出来たのはラッキーであった。中身も(ここには書けぬが)色々興味深く。

空きの時間は殆どなかったが、ブリュッセルマグリット美術館に入ることが出来た。過去3年で複数回ブリュッセルを訪れているにも関わらず、ついぞ入るチャンスがなかったので感慨もあり。(オランダでもいろいろ行きたかったのだが流石に難しく。生きている間に行きたいものだが)

有名な作品というよりは、若い時期の作品や説明などが充実している印象。もっとも時間と言語(フランス語は分からぬ)のために、みっちり見るわけには行かなかったのだが。早い時間で空き空きだったので、「光の帝国」や「これはパイプではない」を(日本の展覧会では見れないような距離で)見れたのは良かった。

PROG FLIGHT@HANEDA

今年はあまりライブに足を運べていないのだが、超絶豪華メンバーにかねてより期待大であった所の11月25日のPROG FLIGHT@HANEDAに何とか参加することが出来た。

何とか、と言ったのは、諸般の事情でちょうどその日まで欧州出張であり、予定調整の結果、奇跡的にフランクフルトから羽田帰りのフライトを使って帰ってくることが出来たため。実際の参加はERAの演奏の途中からであったが、何とか最後まで聴くことが出来た。

羽田でやってくれていなければ大幅遅刻で参加すらどうか、と言うところだったので、今回羽田空港でやってくれたことに感謝しか無い。また、TIAT SKY HALLは存在すら知らなかった(近辺の吉野家は使ったことがあったにも関わらず)のだが、上の事情を除いてもコンパクトで音もよく聞こえ、非常に良いホールと感じた。まさに穴場。

演奏も凄まじく、特に今回の衝撃は初めて聞いたLu7。このライブのPVであまりの衝撃を受けて、何としてでも聞きに行こう、と決めたのであったが、予想を遥かに上回る圧倒的ライブであった。自由自在かつセンス抜群なキーボードにAllan Holdsworth的ギターをはじめ聞き所満載だが、何よりも非常に高度に制御されたバンド全体の統合性に驚かされる。今回の(目玉が飛び出るスペシャルゲストの)大木理紗とのコラボも、(この日の特別編成とは思えぬほど)マッチするようバランスされた演奏に、恐ろしさすら覚える。

また、Electric Asturiasも過去に聞いたライブよりもベース、ギター共に今回非常によく聞くことができ、改めて高度な技術を再認識。こちらも大木理紗とのコラボでのBarren Dream、木霊には言葉もない。再販絶対買おうと改めて思うなど。

そして最後の”Ashes are burning”もこれしかない、というようなチョイスで快哉を叫びたくなるような内容。

終わってみれば4バンド+ゲストの怒涛の4時間30分演奏、にも関わらず円滑な進行、など申し分ないようであった。また是非やってほしいと強く思う。

 

 

「この世界の片隅に」爆音上映

尻に火がついた状態なのだが、かねてから予約しておいた枠なので早引けして丸の内ピカデリーへ見に行く。音が実に強力(もちろんこれは必ずしも、戦争の場面のものだけを意味しない)、というか音がこの映画において、かなり重要な要素を担っていることを再認識。前段階ではどうだろうかとも思ったが、選択して正解であった。

この前読んだ本(『二つの「この世界の片隅に」』)の影響か、原作からどこを残したかとか、どうその根底に流れるものをアニメーションという形態に適した形で表現するか、みたいな所に目が行く。本が慧眼過ぎて、新規性のない所しか言及できなくてつらいのだが、たとえば出だしのおつかいの場面(個人的には超好みだが)とかもそうで、実に自然といえばそうなのだが(漫画では可視化される)妄想はこちらでは可視化されていないのだな、とか、(これは本にも言及が合ったが)やはり出だしの所を絵物語に仕立てたのは妙技過ぎるなとか。一方で、原作(や作者の他の作品)を知ってしまった身としては、やはり、りんさんの件を中心に省かれた部分が強く意識され、そちらも在ってほしかったという気持ちも強まるのであった。

終了後は片渕監督と今回の爆音上映の主催者である樋口氏のトーク。戦争の音が自衛隊総合火力演習でナマで撮った音、という事実や普通の戦争映画はウーハーが効きすぎ(だがこの映画はそれを使ってなくて太鼓の音ぐらい。言語化できなかったが、たしかに映画において太鼓の音に違和感を覚えた。)というところ、「何かの音がしている」という状況がリアルさ、そして空間の立ち上がりを生む、と言う話(アゲハチョウの羽ばたき音すら入っているという驚き)、などと30分という短時間にもかかわらずの高密度。こういうインタビューをしたいものだが。

クラウド時代の思考術

ダニング・クルーガー効果(無知な人は自分の無知に気がつくこともできない)という話から始まって、各人の嗜好に対して「お気に召すまま」の情報が提供されがちな現代において、いかに必ずしも自分の欲していない「無駄な」知識に触れる機会を作るかが大事、みたいな話。

だが、その前段として延々と雑学クイズの統計結果が本の大半にわたって展開されるので、相当退屈。もう少し密度を上げてくれ、と言う気分。

 

クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―

クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―