人を動かす

何か道徳の教科書みたいなお題目に対して、やれリンカーンだとかルーズベルトだとかがどうしたこうした、というようなエピソードをくっつけただけで中身が無い。これだけだとあんまりなのでもう少し書いておけば、本の基本的な思想が、「相手との差異やそれによって生じている問題には立ち入らずに、いかに相手(しかもここでいう「相手」は考慮の結果理解されたものではなく、凡そ「人」はこうすればこう動く、というようにきわめて粗く見積もられた像であって、その意味で他者と直面する、という方向からは真逆のものである)を気分よくさせて自分の問題を解決するか」というものでしかなく、全くなるほど、とかは思えなかった(それにしても相手を馬鹿にしたものである)。
相手を侮り、かつ自分の目的を実現するための手段を言語化したものとしては(考察に類するものとかはないので中身は浅いが)あるいは意味があるのかもしれない。

人を動かす 新装版

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