華氏451度

至る所で絶賛の「夏への扉」が、以前読んだ所全く面白いと思えず、それ以来SFには縁がないものと思っていたのだが、これは思っていたよりも大分楽しんで読めた。
ただ、最後はどうなのか、というか全体的に本読みに対して優しすぎる気はする。「読む」側からいずれ「書く」側に移るようでなくては、嘘なのでは。

華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)

華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)

-2012.08.04

びっくりする程研究に本質的進展がないので(計算を思いついては没になる、の繰り返し。どこの賽の河原だ)書くこともなく、必然的に放置してしまった。
講師の先生は長期出張だし、話を収束させる方向が示唆されていたりで正直困惑気味。

一方研究以外の道楽の方は、誕生日とかにかこつけたりしてやりたい放題だったせいで7月中に夏の予定を概ね終えてしまう有様。メモだけしておくと


マウリッツハイス美術館
オランダの絵をまとめて見る機会がこれまで全然なかったので、かなり行く気満々だった奴。ただ実際行ってみると尋常じゃなく人が多いのに辟易した。朝からあの混み具合では。
後意外と絵が少なかった印象(下調べなしで意外もあったものでないが)。気に入ったのは
ヤン・ボト「イタリア風の風景」、レンブラント「シメオンの賛歌」、フランス・ハルス「笑う少年」など。目玉の「真珠の耳飾りの少女」は頭部のバンダナの青がとても綺麗だったのが印象深い。

ダークナイト・ライジング
前作が個人的にスマッシュヒットだったのと、誕生日に先行上映が被ったとかでこちらも行く気満々で行った奴その2。ただ、蓋を開けてみると、絵など驚く所もあるけどこれでは単なる良くありそうなアクションで前のやつの次に持ってこなくても良いのでは、と言う感じだった。

・高校の同期の集まり
これはいつもどおりの感じ。もはや恒例となった2次会のボードゲームだが、今回は目新しいの(海賊をモチーフにしたバックギャモンとカードゲームの合いの子みたいな奴)がなかなか面白かった。

後はまあ書くほどのものではないが、本を買い込んだり。生協のバンドルフェア(文庫・新書を3冊以上買うと15%引き)を狙って欲しい本を予めみっちり吟味しておいて、最終日に狂ったようにまとめ買い、する時の快感が尋常ではない。

重力とは何か

この分野の第一人者が特殊相対論から初めて超弦理論の話まで解説しよう、というきわめて意欲的なコンセプトで書かれた本。
最初の方は、紙幅とか限られた中で、かなりかいつまんだ話ながら例示とかも入れつつ分かりやすく進めていくその話の上手さに、どちらかといえば話し手側の大変さを想像しながら、楽しく読んでいられるのだが、最後の方、特にハイライトの一つのブラックホールエントロピーの話の辺りになってくると(数式ないので当然だが)ジャンプどころではないアクロバットが展開されて文字通りの置いてきぼりになる(勿論一般向けの本なのは承知しており、ここをどうこう言うつもりはない)。「このことから―がわかりました。」とかさらっと書かれてて目が点になるんだが、一方で分からないのに妙に惹かれるというか、そういう書き口も狙いのうちとしたら凄すぎるとか思いながら一気に読み通せてしまう感じ。

御託はさておき、こんなに薄い本でこれだけの話を凝縮して一般向けに書く、という難度の高い企画に超一流の研究者が乗り、きわめて高いクオリティで実現してみせた(絵も自前で!)、というその「心意気」みたいなものがとにかく素晴らしいの一言。きっとこの先読まれ続ける本の一つだと思う。

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)