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その後の不自由

これは非常に得難い本。
ひどく傷つけられ損なわれた自己を、どのような形で形作っていくのか。単純な「ある時点からすぐに普通の状態に元通り」といった「回復」像ではなく(本書の表現を借りるならば、回復とは回復し続けること)、自らの身体の発する応答へ言葉と意志を与えていく再構成とでもいうような過程、またそれらのなかで苦しい過去を「なかったこと」にするではなく、どのように折り合い、フラッシュバックの恐怖を生き抜いていくのか、これらについて当事者(話を聞き、サポートを行う側の著者も当事者であり、その経験も語られる)の視点から語られる内容は、正直あまりの酷さに言葉を失うものも少なくないが、それも含めて何が起こっているのか、本人に起こっている「嵐」はどのようなものに根ざしているのか、彼女らが損なわれ、言葉にできないでいる所には何があるのか、といった所が非常に丁寧に言語化される様には頭が下がる。
(本書の例などを見ているとなかなか烏滸がましく言い難いところもあるのだが、記憶(本書の言葉でいうならばむしろ思い出)がスムーズにつながっていかない件(「生きのびるための10のキーワード」3,4の辺り。ここでも例が酷すぎるのだが。)の所などは正直他人事とは思えず、非常に感じ入る所があった)
この「ケアをひらく」シリーズ、(以前から気にはなっていたのだが)やはり読む必要があるかもしれない。

その後の不自由―「嵐」のあとを生きる人たち (シリーズ ケアをひらく)

その後の不自由―「嵐」のあとを生きる人たち (シリーズ ケアをひらく)