足摺り水族館

なんか凄く久しぶりに一冊を取り上げて書く気がする。というかもっと備忘としてちゃんと やらないといけないのだが。

最新の「グヤバノ・ホリデー」とか「二匹目の金魚」とか岩波DSの連載とか、新しいものしか読んでおらず、それらも大変よいのだが、これはそれらよりも更にそうした作品に見えていた作者の「色」が強くストレートに押し出されたもの、という印象。絵の芸風の作品ごとの異なりよう、とか、主人公?の見かけの年代の安定しなさとかも相まって、カルピスとカルピスの原液ぐらい違う。ひょんな謎からどろり濃厚な異様な世界をさまよう話の割に(何となくボルヘス、「アレフ」とかに似ているような気がする)、妙な読後の爽やかさのある、何とも不思議な感じ。やみつきになる。かなりお薦め。

気に入ったのは「完全商店街」、「二〇十二年四月十七日の夢」(割と最近の作風に近い?)、「冥途」。

 

足摺り水族館

足摺り水族館