ベイズ統計と統計物理

モンテカルロ法(ギブスサンプラーとか)について急に知りたくなって、積読になっていたこの本をおもむろに手に取ったのだった。

そこについての記載は大まか、と言う感じだったが(本の性質上それはそうだが)、最後に提示されていた「謎」については非常に興味深い、というかここ暫く気になっていた問題と同じで(Isingモデルを事前分布に持ってきて、ノイズ入りの画像からベイズ推定で元画像を修復しました、という「応用」論文自体については全く面白いと思わないが、むしろ事前分布をどうとるかと言う所がベイズ推定のフォーマリズム上避け得ない問題であり、かつ、常態的に用いられているような事前分布でもハイパーパラメータ自体で振る舞いが大きく変わり、それが事後分布に影響する例も普通にある、ということに鑑みて、基礎的に重要に見える)、由緒ある問題であることを認識するなど。

本としては、かなり越境的な所とかを意識して書かれており、(かつ、物理的な原理を通した視点で例を見つつも、帝国主義的な傲慢でないという)なかなか良い意味で類を見ない面白いもの(今となっては、と言うところもあるのかもしれないが、特に物理の素養のある人が読んで、視野を広げるというか、そういうことを暗に狙いとされていると感じる)と思う。

 

岩波講座 物理の世界 物理と情報〈3〉ベイズ統計と統計物理

岩波講座 物理の世界 物理と情報〈3〉ベイズ統計と統計物理