ラ・ラ・ランド
遂に(瞬間的に)劣悪フェーズを抜けたので、昨日池袋で見てきた。(しかし、特に音楽に集中するという点からは、もっと音響に振った所に頑張って行くべきだった。)
一言で言うならば、これは少女漫画ですね(悪い意味ではなく)。なので、すんなり入ってくる人もいれば、ナンセンス、的な反応になる人もいるというのは大変分かる。
ただ、「Another day of sun」の仕上がりは尋常では無いので、これだけで価値はある。(その他の曲は冴えないが。セブの弾く曲もそもそも格好良くなかったり(真のジャズ、みたいなことを宣う割にはキャッチーな音楽に聞こえる。まあジャズをまるで知らないので真偽は不明だが)、ウェットな曲も「冬のソナタ」的だったりで乗れず。)
話の筋とかそれに伴う説得力などはないが、冒頭と最後の「可能性の世界」の、絵と音楽の合せ技の圧倒的力業で押していく典型的パワー系映画。個人的にはこれはあり。
絵的な部分も、序盤の原色だだ使いのドレス(終盤に行くに従いまともな色彩になっていくので、おそらくハリウッドの虚構性、みたいなものと関連があるかもしれない。*1)を筆頭に、かなり気合が入っていて、これはたしかに良い(冒頭のロケは個人的にはそれ程強い印象は受けなかったが)。エマ・ストーンのドレスのみでなく、ロスの夜景など、視覚的にはかなり仕上がっており、引き込まれるので見ているだけで楽しい。*2。
後ポイントとしては、一貫して「二人の世界」で話が進む。上で「少女漫画」と言いつつ、ここが通常のものと少し違う点と思っていて、少女漫画だと、ここまで周囲の人が出てこない、のはまずありえないという印象。
主人公の成功譚という観点からしても、素質はあれど自信の持てない、あるいは打ちひしがれた主人公に対して、ブレークスルーが起こるのに周囲の人の働きかけでがあって、主人公が覚醒、と言うパターンが王道と思うが、この話は基本的に、自分で何か頑張ってやると、それが当たる(厳密にはチャンスは外から訪れるが、それぐらい)、と言う構成。
むしろこれは、努力⇒勝利(更に言うと、その努力の方向の妥当性はよくわからないわけだが)という極度に単純化されたジャンプ的展開。なので、より正確には、少年漫画的な感覚が沁みた人が少女漫画的なものをやろうとするとこんな感じになる、といったほうが正確かもしれない。