次世代量子情報処理技術「量子アニーリング」が拓く新時代 -- 情報処理と物理学のハーモニー

1月15日のこの講演会、個人的に非常に興味のあるトピックということで、あまりこういったエンジニアの勉強会には出たことがなかったのだが、のこのこ参加してきた。まあ最近全く別の興味からスピングラスの物理が気になっていた(レプリカ法とか)ので、場合によってはそういったところも聞ければ楽しいと思って。
田中先生の講演は内容こそ一般向けの内容にとどまるもので深入りはなかったものの、非常によく準備された講演と感じられ刺激的だった。非常に落ち着いた講演の運びが印象的。(自分の卑小な例で恐縮だが)最近は外で話をする際にもすぐ繁忙期を理由に準備を怠ってしまうが、それではああいった落ち着きは醸し出せないというので、やはり準備大事ということを改めて認識。
内容については、近年注目著しい量子アニーリング(昨年末のGoogleによる、「量子アニーリングがある問題について既存のシミュレーテッドアニーリングより1億倍速い」という発表が印象的だが)について、まだまだ明らかにしていくべきことはたくさんあって、特にどのような問題が(既存の問題より)量子アニーリングが得意なのか、などが興味があるということだった。
ちょっと気になるのが、この、「どのような問題が得意なのか」を明らかにする、ということは、具体的な問題をイジングモデルにマップした時に、どのパラメータ領域なら既存の手法より早く解けるのか、という、問題の「分類学」をやる、という理解でよいのか、それともスムーズなマップの仕方がわからない問題もまだまだたくさんあって、それを考える余地があるのか、どちら(あるいはこれらは全然見当はずれで、全く別のものか)ということ。
前者だと物理としては興味深い問題だがあまり(講演でも強調されていた)学際領域という感じはない(モデルの解析で完結する話に見えるので)し、後者は後者でなんだかあまりに個別的すぎる、という感じもあるので、もう少し、発展の方向性について具体的に知りたいところ。
とまれ、個人的に気になる分野であることは間違いなく、今後も意見交換会等も企画されるようなので是非出てみたいところである(もう少し自習も必要だが)。