電王戦第5局

ここまで偶然なのか(あるいは周到に準備された上での必然なのか、そういった意味ではもっと早く向かえるべき段階だったのか)、馬鹿にコンピュータ対人間の試合の特徴がクローズアップされた展開が目につくシリーズでは有るが、最後の最後に今回のルールでの一つの終着点が(ある意味で)ちゃんと示されることとなった。
しかし、直後の談話とか記者会見とか見ると動機は少し自分が思っていたこととは違う問題意識のようで、別の形で電王戦の一つの本質が現れるという、小説もびっくりの展開。副題である"human vs. computer"というのを、そのまま棋士と開発者側、と自分はうっかり読み替えてしまっており、経験から学ぶ能力のある人類は、それ故にある種の固定観念に凝り固まってしまうが、それがコンピュータという将棋における「美しさ」などの既成概念を自明とは思っていない黒船に破壊される、的なストーリーのもとに見てしまっており、開発者は"computer"側という固定観念を勝手に抱いてしまっていたが、実際は開発者も"human"側でありえた、というお話とは。
さて今回のプロの対策に関してだが、自分のスタンスについてこの類のことは複数回ここで書いているので繰り返すのもあれだが、昔の話を一つだけ。
10年以上前、自分が千駄ヶ谷将棋会館の道場に行っていた頃、道場備品のうちにNINTENDO64のソフト「最強羽生将棋」の攻略本があった(ゲームの攻略本なので著者は羽生名人でなかったのでないだろうか)。そこには登場人物の各種キャラクターのそれぞれの指し回しの特徴に加えて、対策として、いわゆる「正攻法」(普通の本で見かけるような駒組みの方法の示唆)の他に、「裏技」として、キャラ特有の対策としてきわめて特徴的な指し回しが解説してあったと記憶している。