つるの将棋7番勝負

つるの剛士が羽生三冠、渡辺竜王をはじめとしたプロ棋士と行った駒落ち7番勝負(どうぶつしょうぎとかもあるが)と対談を収めた本。本屋で見かけてなんとなく立ち読みしてみたが、ぱっと見から予想される内容よりもはるかに良い。良い意味で予想を裏切られた。
駒落ちの手合は氏がアマチュア三段の実力の持ち主ということで飛車落ち、角落ちが中心だが、殆どの内容がかなり押し気味。振り飛車から玉をしっかり囲って多少駒損でも敵陣を突破して大駒を成る、といった駒落ち下手として理想的な展開に上手く持ち込んでいる。以前NHKの特番か何かで氏の駒落ちの将棋を見た時よりもはるかに強い印象を受けた。
また、何より特筆すべきなのが対談が氏のプロに対する敬意や対局出来たことの喜びが非常に強く伝わってくるものであったこと。紙幅の関係もあってか対談の内容そのものはにそれほど目新しい内容はなかったが、読んでいて気分の良くなる対談は久しぶりだった(悪いものを引き合いに出して良い物を褒めるのも何だが、数日前に録画を見た「SWITCHインタビュー 達人たち」の羽生三冠と佐渡裕の対談が、主に佐渡裕が明らかに対談に臨む状態でなくかなり残念なものだったので一層好印象を覚えた)。掲載されていた写真も氏もプロ側も良い笑顔が多かった印象。
対談、対局ともにもっとページを増やして充実した内容で出されていても良かったと思うが、購買層など考えると難しいか。そこが唯一残念な点。

つるの将棋七番勝負

つるの将棋七番勝負