数学セミナー 4,5月号
久しぶりに読んだ。
4月号については特集記事のエッセイの人選は興味を惹かれるものであったが、(特に純粋数学よりもその応用とか、物理・情報といった周辺領域に行くほど)実際の記事の内容は希薄であった。
唯一面白かったのが伊庭先生の記事で、「数学」とは具体的な事象の背後に在る一般化・抽象化による理解を目指す「思想」ではないか、という形での特集の「なぜ数学を学ぶか」という問いへの答え(実に(統計)物理の人らしい考え方だと思うし、とても頷ける)に加え、紹介されていた事例のヒストグラムを描く時にしばしば悩むbinの範囲の話がバイアス・バリアンストレードオフ、という指摘には蒙を啓かれる思いであった。
5月号の特集も、目新しい感じで、これはこれで、というのもあるのだが前号に続き変化球感は否めないだろうか。縫田先生の圧倒的惚気力と内村先生の雑誌紹介での「大数」を紹介する、というスタンスは良かった。
しかし連載が異様に面白く、時枝先生の記事(異様なまでの手際の良さに慄く。絵も超かわいい)、「ピタゴラスイッチ」のユーフラテスの記事、そして齋藤先生の森田手筋の解説(初めて知った)など盛り沢山であった。