バッタを倒しにアフリカへ

サバクトビバッタ研究者である著者の、アフリカはモーリタニアでの奮闘記。

虫の写真こそたくさん出てくるが、研究の詳細的な話はあまりなく(一方でサバクトビバッタの相変異の話はかなり興味を惹かれる)、研究をすすめる上で非常にタフな環境で、どのように知恵を絞り、気持ちを切らさずにやっていくのか、という所を冗句を交えつつ語るというもの。

著者の(並大抵ではない)強靭さと前向きさのおかげで楽しく読めるが、冷静になるとなかなか胃の痛い話(初っ端の、これまでラボでの実験をメインでやっていながらいきなり(英語の通じぬ)アフリカに行ってフィールドワークを一から始める、と言う部分だけでもキリキリ来る感じではある)ではあったりしつつ面白く読む。

しかし(異分野過ぎて判断力が皆無なのだが)圧倒的なコミュニケーション力(変な意味が付いてしまった言葉で使いたくないところもあるのだが、圧倒的アウェーの地において、あらゆる手段を使いながら目的を達成していく様を見るとこうしか言いようがない)、本書それ自体をはじめとした(非専門家向け)優れたアウトプット能力(賛否両論はあるだろうがファンド獲得という側面からは明らかに重要)、(海外学振⇒白眉とかなり強力に見える)経歴を持ってしても、これほどまでにハードモードとは。

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)