囲碁AI新時代

囲碁はルールも分かっていない程度、ということもあったのだが、千田五段のプッシュも見て、読む。1章、2章の具体的な部分は予想通り理解は難しかったが、著者の文章自体はかなりわかりやすく(今の囲碁AIが得意とする「大局観」的な部分と「局所の読み」の部分をどのように両立させるか、という問題意識がクリアに提示されている)、また人柄が伝わってくる感じのもので楽しく読む。

MCTSというアルゴリズムの存在を初めて知った(プレイアウトの話は過去に聞きかじりで知って、驚いた記憶があったのだが)。創薬機械学習とかでも使われるらしい。

やはり囲碁は(将棋を反面教師に出来たのか)非常に大人な受け止め方をしているし、何より新しいものに好奇心を持って飛び込む姿勢がトップに見られるのが、非常に開かれた印象を与えていると言うのを再認識(イ・セドル九段もそうだし、銘エン先生がコンピュータ囲碁に興味を持って助力を申し出る、というのも。もっとも将棋界にも勝又六段とか西尾六段とかいる訳なので、個人レベルの問題かもしれないが、業界としてトップがどのようなスタンスか、というのは非常に大きい)。一方で、将来のプロのあり方に答えを出し切れているわけではないという印象も受けた。

 

囲碁AI新時代 (囲碁人ブックス)

囲碁AI新時代 (囲碁人ブックス)