統計力学Ⅱ

まさかの、といった感じであるが、「Ⅰ」を読んだ後もちまちまと読んでいたのが、先週ようやっと最後まで再び行ったのであった(体調不良とか、年明けから時間確保がまるで出来ない期間が続いたりでぼろぼろだったり、とかもあったのだが)。

下巻も相も変わらず面白く、表の本筋としての量子統計の話(BECの話のところは、改めて読んでやはり、(この本通じての影の主役である)Einsteinの洞察力に慄く)、そしてこの本を(上巻の4章とともに)類書なき唯一のものにせしめている9章の熱力学との対応の解説(完全な熱力学的関数のLegendre変換という数学的な処理によって、圧倒的な自由度を持つ「浴」との接触という、物理的な「操作」がこう綺麗な記述がつく、というのは何だか不思議な気分になる)、そして最後の相転移(今もなお、「自然からの出題」、3次元の相転移現象の理解という恐ろしい難問は残り続ける、というある意味出来すぎた幕引き)。実に見どころ満載、といった感じ。

 

統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)

統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ)

 

 

次はどちらに向かったものか。一連の話を読んでしまうと、(本書での開かれた書き方からして)相転移の所を改めて見直したくなるのが人情ではあるが。