ニンテンドー・イン・アメリカ

ドンキーコング」からはじまってWii3ds、そしてその先の展望まで含め、マリオシリーズを通じて任天堂の一代史(アメリカでのだが)を描く本。黎明期のエピソードなどそれ自体面白く読める一方で、実に情熱的というか、著者のマリオ愛が素晴らしく、各ゲームについての評価はスーファミ直撃世代にとっても首をぶんぶん振りつつ共感して読める(ヨッシーアイランドはおろか、マリオRPGについても言及があって大変嬉しかった。さらに「ドルフィン」とか過去になんとも言えない気持ちにさせられたようなマジックワードも登場するなど大変良い)ような大変楽しい物になっている(まあ愛ゆえの厳しい毒舌なども散見され、たとえば「過去の作品の焼き直し」ばかり、とGBAはボロカスだったりもするが)。
まあ、本の中心が兎に角マリオ、なのでゼルダとかHAL研の話はあんまり無く、ポケモンもさらっと、などと偏りがある(ただアメリカではそういう扱いなのかもしれない)、ということは踏まえたうえで読む必要はあるが、大変面白い。本文では直接は言っていないが、彼らのゲームの「創造性」こそが真の魅力ということを、改めて強く感じさせるものとなっている。
一方で、本書でのアメリカでのビジネスの記述を見るとやはり、非常に地に辛い風土(と有名な法務の強さ)による、ビジネスとしてのえげつなさも垣間見え、成功には両方が必要だったのだな、と感じさせられる。そういった、なぜビジネスとしてこれ程までに成功したのか、という観点でも考える材料をふんだんに含んでおり、面白く読める。

ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力

ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力