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山猫

ヴィスコンティ生誕110週年を記念して、恵比寿ガーデンシネマで「山猫」と「ルートヴィヒ」の4K修復版の上映が始まったということで、昨日「山猫」見てきた。
恥ずかしながら今回がヴィスコンティの映画見るの初めてだったのだが、映像、音楽、そして俳優すべてのあまりの美しさに、言葉も無い。個々の要素の素晴らしさと、それらの調和により作り出される奇跡のような世界。
特に映像で言えば、クライマックスの舞踏会の絢爛豪華さは言うに及ばず(最後のダンスの直前にサリーナ公爵とタンクレディが相対する場面では涙ぐんでしまった)、冒頭のタンクレディ帰還の場面の家族の様子など、あらゆる瞬間がそのいずれを切り取っても絵画になるような見事さで、考えぬかれた構築美を強く感じる。
俳優にしても、バート・ランカスター演ずるサリーナ公爵の、イタリアの変革時代において避け得ぬ貴族の没落と自らの「老い」への苦い思い(そして自らの退場において、屈辱を飲んでまで希望を託したはずのタンクレディが堕したことへの絶望)と、一方で冷静に時代を見つめる知性(新体制での議員への就任を依頼された時の台詞が良すぎる)の見事な表現や、アラン・ドロン演じるタンクレディ(抜群の美貌)による、人生の正午を謳歌するが如き能力に裏打ちされた自信と魅力、強い野心と、「若さ」、そして新時代を生きる人間の「貪欲さ」の完全な体現など、完璧と言わざるをえない。
5月中にもう一度見に行くことを考えたいが、ルートヴィヒも見たいし、悩ましすぎる。