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名人

終身名人制最後の名人である秀哉名人の、病に蝕まれながらの最後の対極となった引退碁の観戦記の形を取りながら、囲碁を極めんとした名人の最期と、囲碁が「芸」としてあった一つの時代の終わりを描いた小説。
引退後の勝負の中での僅かな瞬間を切り取った風貌や佇まいの描写から、名人の人ととなりや有り様、背負ってきたものというものを露わに描き出してしまう筆力の恐ろしさ。(碁の)文化と「日本的なもの」とを直ちに重ねあわせてしまう描き方には安易さを覚えないでもないが(ただ、碁といえば日本、という時期をまるで知らないので、この時代の人にはむしろ全く自然なことなのかもしれない)、全体としては実に良い。

名人 (新潮文庫)

名人 (新潮文庫)