レッド/レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ

年明けからちまちまと読んで、最新刊まで追いつく。1969年以降の時系列を追う形で連合赤軍事件とその末路に至るまで(まだ途中だが)を描いた漫画。事件の顛末のセンセーショナルさだけを取り上げるのでなく、そこに至る過程を冷ややかに追い続ける、作者の凄みを感じる傑作と思う。
お題目の理想論と実態とのギャップ、それに自覚的でありつつ(1巻では後に中心メンバーとなる赤城ですら、説得を受けてゲリラ路線の困難に一時は同意する。にもかかわらず、リーダーに推薦されて以降はもはや止まれなくなる)も、尾行やローラー作戦の進む中での焦燥感、組織の閉鎖性、もうこれしかない、他の道はないという固定観念による閉塞感によって、馬鹿馬鹿しいものにしか見えないような犯罪(特に序盤では、作者の独特の気の抜けたユーモアが実に皮肉)や計画が遂行され続ける、そしてさらに戻りが効かなくなって、という悪循環、それに加えての異様な連帯感とポジション争いを含んだ人間関係が相まって、4巻で一線を越えてからは、もはや留まるところを知らず加速するばかり。
一つのハイライトは4巻と7巻でしょうか。特に4巻の、栗駒を捕まえて説得する件と7巻の表紙画面にもある唱和の場面は本当に怖気の走るものとしか言いようがない。その後はもう言葉もない。
今後さらに悲惨な顛末を迎えるわけだが、目が離せない。