世界の中の日本 これからを生き抜くエネルギー戦略

2014年10月に東大生産研で開かれた同名のシンポジウムでの講演をまとめた本。東日本大震災後エネルギー政策の大きな方針転換を余儀なくされ、その後も(講演まででも)FIT制度の導入やエネルギー基本計画の発表など、まさに大転換期を迎えた日本において、今後どのようにエネルギー政策を考えていくべきかについて、海外の動向を含めた多量のデータを交えて研究者および民間企業の講演者による発表がなされ、大変わかりやすい。
特にドイツの再生可能エネルギーへの過剰な傾倒による電力事業者の惨状(再生可能エネルギーを過度に優遇したメリットオーダーの影響と出力変動への対応のための低負荷運転の必要などから、最新鋭の高効率火力の稼働率が確保できず、事実上凍結されているとか、電力事業者が火力発電で事業がまともにできないから新設は到底無理で、洋上風力をやらざるをえないとか)や、アメリカの政策サイドでの石炭への厳しい制約(排出規制のため事実上石炭火力新設は無理)の具体的な内容などがわかったのは良かった。
他の講演会についても書籍化が望まれる。
さらに相補的な発表資料が以下のサイトから見れて、こちらも大変有益。
https://www.kaneko-lab.iis.u-tokyo.ac.jp/event/20141030/20141030_material.html

世界の中の日本 これからを生き抜くエネルギー戦略

世界の中の日本 これからを生き抜くエネルギー戦略