自動車業界のいまと未来がわかる本

今後大きな岐路を迎えると予想される自動車業界について、欧州、米国、日本のメーカーを中心にその現状をまとめた本。深堀りは必ずしもないが、非常によくまとまった本と感じる。
特に印象深いのは、やはり欧州の、自動車メーカー、メガサプライヤー、そして環境規制や標準化を行う政策サイドの一致団結しての取り組みの強力な態勢か。VWのMQBに代表される、モジュール化された部品の組み合わせとして自動車の固定部分を構成するというモジュール設計の概念という技術的な面と、それと連動することで大きな意味を持つ標準化への政策面の動きといった戦略的な面が両輪として動いているところに、思想を行動まで持っていける強さを感じる。
市場の分析なども興味深かったが、あまり深く触れられてなかったアフリカについてはどうなるのかが気になった。欧州が強いところということで、深く取り上げてないのかどうか。
環境規制の部分は、カリフォルニア州のZEV規制とか、欧州車を中心とした過給機利用VS.日本・米国のハイブリッド車的な構図とかは知ってはいたが、48V規格の取り組みは知らなかったので興味深い。後は当面重要な位置を占める内燃機関についても、技術開発をもっとやらないと、的なのはまあ確かにという感じ。
自動運転のところはさほど詳しくもないか。具体的な技術のところをもっと書いて欲しかったが。
最後の結論(提言というべきか)はまあ無難な感じ。

自動車業界のいまと未来がわかる本 (新書y)

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