風邪気味なのがここ暫くずっと続いているので、だらだらしながら読む。
はじめて楳図かずお漫画を通して読んだ(「漂流教室」は大昔に途中で飽きて投げた記憶がある)が、かなりの衝撃を受けた。怖さ、気味悪さ、おぞましさを隅々まで知り尽くしている、といった感じ。出だしのいずみや、さくらの先生の妻への仕打ちも相当に強烈だが、クラスの女子やご近所さんたちの、噂話や常に感じる視線といった「湿った」感じなども、恐ろしい空気を作り出すにあたって大きな役割を果たしており、上手いと思う。
全編通じて実に嫌な感じの怖さがあって、夜中だったら正直読み通せなかったかもしれない。子供の頃に読んでいたら後遺症間違いなし。
終盤は素晴らしい力技(文庫版の1巻では巻末の「エッセイ」で信じ難いネタバレをしているので、是非読まないようにして通読してほしい)を見せつつも、やや発散気味の所もあると思うが、それまでの恐ろしさがあまりに素晴らしいのと重奏的な含みをもってくるアイディアが抜群に良いので、それも瑣末なところか。
- 作者: 楳図かずお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/10
- メディア: 文庫
- クリック: 16回
- この商品を含むブログ (38件) を見る