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エンジニアリングの真髄

しばしば混同されがちな「科学」と「エンジニアリング」について、その違いは何なのかについて、またしばしば見られる科学>エンジニアリングという偏見に対する反論を述べた本、なのだが。
しかし「純粋科学者はプライドが高くて問題も選り好みするいけ好かない野郎だけど、歴史を鑑みれば理論がわからない中でも開発先攻で成功した分野は沢山あるし、今や開発や実学と結びつかないと研究費用も稼げないではないか。だからエンジニアリングのほうが大事なのだよ。現代においてはシステム的な思考とか、エンジニアリングこそが重要になる問題が多いけど、科学もまあ大事だから手を取り合って頑張ろう」とか言われて、なるほど、では是非ご一緒に頑張らせて下さい、という「科学者」が存在するのだろうか。読んだ印象としては科学者へのルサンチマンありありで、結局(それも他人の)札束パワーで仕返しするしか無いのか、みたいな感じで色々非常に辛い。そういうことばかり言って、物中心かつ短期的な視点でばかりいるような人がいるから、新しいことができずにガス欠になるのでないかという気分にしかならないが。
全体の要旨としては上に書いたようなもので、具体例こそたくさん出るものの、適当ではないような例も見受けられる(たとえば冒頭に出てくる、原子力関連の研究に従事する純粋科学者が、仕事に嫌気が差して辞めていく件が、科学者は真の科学の追求である仕事しか望まない例としてあげられているが、解説されている状況を見ると、過去に勝手に各人が開発した計算コードがろくに管理されていない状況で、ブラックボックス化したコードを紐解きながら問題対応みたいなことを延々とする必要があるという状況らしく、科学と工学という対象の問題より、そもそもの(情報整理や引き継ぎが適切で無いという)環境的な問題を解決すべきなのにそこにアクセス出来ない状況に嫌気が差したのでは、という気しかしない。)し、そもそも例が散漫だったりして主張がまとまっていない印象を受ける。扱っている問題は大事だと思うが、そこに対して十分に思考し、整理するということがされていない本。

エンジニアリングの真髄―なぜ科学だけでは地球規模の危機を解決できないのか

エンジニアリングの真髄―なぜ科学だけでは地球規模の危機を解決できないのか