ヨーロピアン・ロック・フェスVol.2

昨日東京国際フォーラムで聴いてきたが、未だに興奮冷めやらず。感想を一言で言うならばAtollがちょっと類を見ないレベルで素晴らしすぎた。一つの奇跡といって全く大げさでない。
何故かといえば、プログレって1970年代前半にそのもっとも良い時代を迎えた分野なわけで、今となってはプログレってったって、当時の先進的だったり一種のギリギリ感が伴うような物自体に出会うのがそもそも難しかったりだしで、その頃に実現された、いわゆる「伝説」的なライブを間接的に楽しむという形しか我々には許されていないわけで、2010年代の現在に実際その頃に黄金期を迎えていたバンドが来日するってんで聞きに行ってみれば、確かにツボにはガスガス来るものの、一方でこの分野の一つの特徴であるハイレベルな技巧的な部分とかに関しては、むしろ時間の経過を痛感せざるを得ない、的な部分があるのであり、1970年代のその奇跡のような時代を共有できなかった人間としては、そういうのも含めた形で楽しむという選択肢しか考え得なかったわけです。
ところが、昨日のAtollのライブでは素晴らしい楽曲、並外れた技巧のメンバー(どの人も明らかに尋常ではなかったが、やはりギターとサックスは本当に特筆すべき、そしてAndre Balzerの声量と幅の広さ。本当に50代なのか?)、そしてつまらないパフォーマンスとは一線を画する、Andre Balzerによる強烈な場の構築。我々がプログレといった時に想像し、そして手が届かないものとして憧れをもって見る他無いとこれまで思い込んでいたものが目の前に現れていた。全く誇張でなく、時間を超越していた。
こうしたものに遭遇してしまうと、次まで生きなければ、という気持ちになる。次回が待ち遠しくてたまらない。