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荒木飛呂彦の漫画術

予想をはるかに超えて大変面白い本だった。全体として、説明が非常に上手く、とても分かりやすい。キャラクター、ストーリー、テーマ、世界観という4つの構成要素を取り上げ、それぞれに対して他の漫画の例(どこがプロから見て特筆するべきものなのか)やジョジョを書く際に考えていたこと、実際に作っていく際の作業のやり方を公開してくれるというまさしく大盤振る舞いな内容。その上に、デビュー前後の頃に考えていたことや自分の弱点の認識と克服、やりたいことと流行りの乖離、などのプロ論的な話も面白い。
以下はメモ。
・漫画というメディアの性質みたいなものが見えて面白い。複数の要素を同時に表現せよ!というメッセージとかそれの端的な表れと思うが、それだけでなく、「週間少年漫画」ということの強い影響も興味深い。たとえば「ストーリーは常にプラスでマイナスになってはいけない」とかいうのも通し読み可能な小説とかではちょっと信じられないけど、常に爽快な読後感を残す必要があるということか、など。

・改めて「武装ポーカー」を見ると、コマの配置が本当に無駄なくすごく格好良くて、「当時のベスト」というのはなるほどと思わされる。
・方法論や考えていることは明快に書かれている一方で、随所に余人の追随を許さないというか奇妙なアイディアが見えて面白すぎるのと同時に才能を感じさせられる。食べ物をやろうと言われて、食べ物でバトル⇒あまちゃんを見て鮑とバトルに変更とか、別荘族のイノシシの駆除の願い出の話がなぜ、山の神とのマナーのバトルになるのかとか。