図解燃料電池技術

大学や研究所の研究者、燃料電池・水素の主要プレーヤー企業らによる燃料電池や水素に関する技術トピックの解説書。
良い点として、情報が非常に新しく、かつ「中の人」が直接書いていること、コンパクトな一方で幅広い話題が取り上げられていることがあり、あまり当該分野の知識がない人が新しい技術寄りの話題をさらうのに結構良い本と思う。
いくつか気になる点は、最新の話題に直結しないような基本的な部分や原理・原則についてはほぼノータッチなこと(たとえば各種過電圧とその主要な要因、分離とかについては書かれていないので別の本にあたることが必要)、燃料電池や水素の意義について明示的にはそれほど書かれていないこと(ロードマップを取り上げているのだしそこでの文言ぐらいあっても良い気はする)、実証の動向などについてはあまり詳しくない(積極的な自治体などによる執筆もあると良かった気はする)、(上での燃料電池・水素の意義とも直結するが)海外とのエネルギー事情の比較や海外動向についてはほぼなし、などか。
技術面の最新の情報に手早く網羅的に触れることという目的には良い本だと思う。後は(紙幅相当に)値段がもう少し安ければ…