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ゲーム音楽史 スーパーマリオとドラクエを始点とするゲーム・ミュージックの歴史

感想を一言で言うと、タイトルにやや難がありというか、内容的に、ゲーム音楽の通史的本とはいえないので、これは危険なのでは、という感じ。そもそも「スーパーマリオドラクエ」を始点にするのは適切とは歴史的にはいえないだろうし(商売上のことなのかもしれないが、問題を感じる)。
通史の本を謳うのには致命的な点はおそらく2点あって、まず一つ目が内容の取捨選択について。
歴史の話だったら、始祖的な所は結構大事な気がするが(実際に明確に突き止められる場合とは限らないから難しい面があるとは思うがそこを調べるのは重要と思う)、本文でまず出てくるのがマッピー(1983)でいいのか、という気はする(他のところでも試みの紹介とかで出てくるタイトルの例がやけにメジャーというか、ゲームとしてよく知られたものが多く、年代等の周辺情報もあまりないので本当に初めての取り組みだったり、技術を最も効果的に活用している、取り上げるべき適切な例だったりするのかわからない所が見られる)し、題材も4章が、ファミコンスーファミ、プレステ、プレステ2以後、と基本的に据え置きのゲームの話しかしていないのも、「ゲーム音楽」の指す領域から言うとかなり限定された一部なのではないか。
二つ目は文章で筆者の主観がきわめて強く現れているところで、全体通じて、据え置きゲーム機とメジャータイトルを中心に据えた史観に沿って話が組み立てられている気がして、それと筆者のゲームの内容の紹介+筆者の思い入れがばりばり表れた文章によって、かなりバイアスのかかった文章となっている印象(古き良き時代のRPG偏重の嫌いがあるし、特定のタイトルを「その魅力を長いこと理解できていませんでした」とか言ってしまうのとか、かなりどうなのかという気がする)。
しかし30年以上の歴史があるものだのに、これまで研究的な本も多くはない(自分がよく知らないだけという話かもしれない。あれば是非知りたい)という状況でありながら、今こうして本が出るという事実は、当時の状況がもっと語られることが必要な段階になっている、という観点から重要な事かもしれない(生まれていなかった人が言ってもまるで説得力がないが)。