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数学文章作法 基礎編

数学的な内容を含む文章をメインの対象として、正確で読みやすい文章を書くために意識するべき点についてまとめた本。これまで分かりやすい文章の重要な要素として、ぼんやりとしか意識してこなかったことが簡潔かつ明快に文章化されており、大変参考になる。昔中高生が対象の個別指導的なものをやった時に、本書に書いてあるようなことを教えることが何度もあったので、どこかのタイミングで書き方自体について触れる要素がもっとあっても良いのにと思っていたが、これ1冊まずは読んでもらえれば、といって手渡せるような本がこうして出てきたのは喜ばしい。
そして真に素晴らしいのは、この本を読み進めるなかで、文章の書き方のみならず、(数学の)考え方それ自体も学ぶことが出来るというところ。たとえば例を作る、明確な問いを立て、それへの答えを与える、という行為は正しくものを理解する際の手続きそのもの。
この本の中で最たるメッセージとして挙げられている、「読者のことを考える」という「読者」は他人に限らず自分でもあり得る訳で、自分に対して誤魔化しなく正確で、かつ伝わりやすい表現を心がけることが、ものをクリアに考えるという行為に直結するということに、本書を読む中で自然に気付く形になっているという点は非常に教育的と思う。
続編の「推敲編」の内容にも期待。

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)