ロストハウス

90年代の作品をまとめた短篇集。これまでの自然な延長にある「ジイジイ」、例によっての破天荒な筋と絶妙な描写の共存により、完全に独自の空間を作り上げている表題作、加齢が加速する病にかかった18歳の主人公の老いと「再誕」を描いた「8月に生まれる子供」といい、余人の追随を許さぬ出来栄え。猫の話も悪くはないけれど、新作でこういった話を読んでみたいと思わされてしまう。

ロストハウス (白泉社文庫)

ロストハウス (白泉社文庫)