ビューティフル・マインド

ゲーム理論幾何学の分野で若くして著しい成果を残しながら統合失調症発症に苦しめられ、長い年月の後の寛解を経てノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの一代記。前半6割ぐらいは発症前の話で、まあ才気溢れる代わりに碌でもないという感じの人が主人公を始め複数出てくるのでかなりあれ。一方発症後の変貌ぶりは凄まじく、前半の全能感は見る影もなく痛々しい。特に周期的に発症とゆるやかな回復を繰り返す辺りの描写が何とも悲惨。寛解以降は、伝記らしく淡々と書かれているものの個人的には結構感動的。全体としても、分量的にも写真等含めてみっちり書かれたという感じで非常に面白かった(途中で度々出てくる作者によるナッシュの統合失調症発症原因の推定みたいのはいらなかったが)。

ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫)

ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫)