モデルベース開発

最近一層注目されてきている(らしい)モデルベース開発についての解説書。特に制御の分野において、制御の対象とコントローラをモデルによって簡易に表すための環境が整備されたこと、かつ系の挙動をシミュレートするためのコードをモデルから自動生成できるようになったことを背景として、物理モデルを軸としたシステムの把握と制御を行いましょう、というモデルベース開発の思想からはじめsimulinkの例など挙げつつ解説する。しかし個人的に知りたかったプラントモデルの詳しい事例とか、最終章のエネルギーシステムの辺りの詳細とかについては内容は薄い。一方で、3章の物理モデルの例として二次元振り子をラグランジアンでごちゃごちゃとか、数値計算で陰解法が陽解法より安定、とかは読者はこの本で読まなくてもよいのではないか、という感じでその辺りに無駄に紙幅が割かれすぎ。モデルベース開発の現状の解説書としては、余計なことにウェイトがあって全体としてバランス感が良くない印象。