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風立ちぬ

映画

「子供に受けなさそう」という前評判と「飛行機」というので、ろくに下調べせずに見に行くことを決定。今日見に行ってきた。

が、結論としては微妙な印象。まず全体として堀越二郎のエンジニアパートと堀辰雄の恋愛パートの単純な足し算となってしまっており、それを合わせて一つの話にした効果が現れていないと感じた。
そもそもその足し算すら、エンジニアパートでは華がない(この理由は後述するように、飛行機を作る際の話で踏み込みを欠き、年表的な描写に終始しているためと思う、)から恋愛を出そう、一方恋愛パート内では付きっきりでいられぬ障壁として仕事(夢)が顔を出す、という感じで、複雑な絡み合い、みたいのがあまりない印象を受けた。
そのため、仕事(夢)と恋愛というもの両立の難しい形で同時にあるというなかで、その分裂が主人公においてどう対処されるのかという観点がなくて、結果そこへの対処が、限られた時間の中今を真剣に生きる、という言葉だけでは(「創造的な人生は10年だ」という台詞をはじめとして、本作の意識はこの辺りにあると思うが)説得力があるとはいえないと思う。
で、葛藤や止揚なく、単なる二つの話を足し算する形で時だけ進めてしまった結果、映画の時間の制約でそれぞれの話の書き込みも全体的な印象を撫ぜるような感じになっており、話のトピックが年表を絵にした感じというか、地震があった、主人公が東大出て三菱重工入った、海外に行かせてもらった、みたいのは描いてある一方で飛行機を作る際の紆余曲折みたいのは端折られており、馬鹿に綺麗に書かれていて後は察しろ、的な投げ方なのはどうなんだ、と思わなくもない。恋愛パートではかえって詳細を書かない所が上手く行っているのかもしれないが、基本話がすごく甘々というか都合が良い系なので、あまりふわっと書かれるとかえって困惑する。
という訳で話には不満が残ったが、絵は相変わらず新しくも懐かしい感じが素晴らしい(特に夢の場面)し、エンディングの「ひこうき雲」のマッチぶりも良かったり、とそういった点は映画館で見て良かったか。