物理学への道程

一般向けの物理学の解説や、筆者の実体験を交えた量子力学黎明期の様子についての文章、また教育に関する対談などを集めた本。
よく名前の挙がる、「光子の裁判」や「鏡の中の物理学」などの物理の解説も特別分かりやすく書かれているというわけでもないと思うのだが、著者の文章を貫く、ある種の「こまやかさ」とでも言うべきものが読み進める駆動力となっているのだと思う。
個人的には、研究者としての駆け出しの頃の物理学の様子や、東京に出てきてすぐだったり研究の芽が出なかったりして苦しい心境(自分が院で感じていた閉塞感が言語化されていて(と言ってはおこがましいが)かなり頷けたり)を語ってくれた「思い出ばなし」がベスト。

物理学への道程 (始まりの本)

物理学への道程 (始まりの本)