産総研による燃料電池についての解説書。二部構成になっており、一部が産総研の研究者の談話を交えた研究内容の概説、二部がもう少ししっかり書かれた解説と、最近の研究内容の紹介。対象としては高分子型、酸化物型共に扱われている。
一部は、産総研の研究者とやってることの雑な紹介、程度で中身は乏しい(もう少し正確に言うと余計な話が多くて有用な情報の密度が小さい)。
二部の解説は数式をほとんど用いない平易なもので予備知識がなくとも読めるので概観をつかむのには良かった。しかし、研究内容の紹介がプレスリリースの文章に近く、解説部分とのつながりや分野全体での位置づけ、展望などが乏しいために、研究内容の話に移る所でしばしば唐突な印象を受けた。
全体的には、分かりやすく書かれている一方で、トピックが産総研のものに偏りがあり、それらが分野内でどう位置づけられるものなのか、などのフォローが成されていない点に不満が残った。折角アウトリーチをやるのなら、発信の仕方をフェアにしないと逆効果だと思うのだが。
- 作者: 産業技術総合研究所,産総研=
- 出版社/メーカー: 白日社
- 発売日: 2011/04
- メディア: 単行本
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