天地明察

職場の方から薦められて読んだ。
囲碁の名家に生まれた一流の棋士でありながら、その算術の高い能力を活かしてその不正確さが露わになってきていた従来の暦に変わる新しい暦の制定に心血を注いだ渋川春海の一代記。
なのだが、なんかあちこちに入る時代背景等の説明文章がdisturbingでなかなか落ち着いて話に入っていけない。時代小説をろくに読んだことがないのだが、皆こんなものなのか?
後文章が全体的に馬鹿に大げさというか、節をまたぐ引きですぐ「地獄を見た」みたいに言っちゃう所とかがどうも合わない。
本筋に近い所でもところどころ違和感が。「授時暦」をそのまま拝借してその間違いの可能性を考えないとか、本当か?と思ったり。あと6回中1回外れたらお取り替えなし、みたいな点とか流石に(でも現実はこんなものなのかもしれない)。
すなわち、一見いわゆる「理系」的なもの(所構わず絵馬の問題解くとか老人のいい笑顔とか)にスポットを当てて描いたようでいて、その実そこの根本的な考え方(誤差的な考え方とか鵜呑みにしないとか)をあまり考えないで記号的に書いている嫌いがあるのでは。
しかし最後のあれだけナイーブな感じだった春海が結局根回しや策を弄して本位を達成する、みたいな所を年を食って学んだので上手く行った、というのは教訓的な気はする。

完全に余談だが、自分の現状的に薦めてきた方には何か含むところがありそうなのが嫌である。

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)