夏の夜の獏

素晴らしい。外れなしといっていいと思う。これまでの作者一流の、人生の裏通りを歩く人達の疎外感の描出に加えて、物語が自然にまとまって綺麗な形になっているように感じた(以前の作品は発散気味のところも多々あったので)。あと個人的にこの頃の絵が好み。
気に入ったのはほぼ全てだが、特に「水の中のティッシュペーパー」(ありがち、といえばそれまでだがすごく綺麗)、「夏の夜の獏」(こちらも物語として洗練されていると思う)、「つるばらつるばら」(白眉。全作品通してベストに近い作品の一つと思う。これを書いてしまったら次は何を書くのか?)。

大島弓子選集 (第12巻)  夏の夜の獏

大島弓子選集 (第12巻)  夏の夜の獏