2012.06.27

27日

朝は講師の先生と研究についての議論。問題点を話すと即座に解決案が提示されたり、こちらの案の問題点が指摘されるのにはいつもながら舌を巻く。一つloopholeとしてやるべき計算が明らかになる。

その後は川上先生の集中講義2日目。例によって自分用のメモなので間違いが多々あるかも。

始めは昨日の続きでもう少し物理的な観点から。結果だけだが周期境界条件での有限サイズの場合の結果として、セントラルチャージが基底状態のエネルギーに顔を出すとか、励起状態のエネルギーや運動量も共形ウェイトと励起の量子数で書けるとか(エネルギーと運動量が見た目は独立だが線形分散のはずなのに本当にそれで良いのか?)。そして複素平面上のスケール変換がシリンダー上では軸推進に対応するから、軸方向を時間と思えばハミルトニアン固有値を調べることが共形ウェイトを調べることに直結すると。
具体例として朝永-Luttinger流体。これはc=1の場合に相当して、励起は物理的には粒子の数変えるのとFermi面の端から端への散乱(これらがプライマリー)、更に電子正孔対励起(これがセカンダリー)の3種。これらから定まる励起エネルギーはU(1)対称性を反映して1パラメタKで書ける。標語的に言えばTLLでは電荷とスピンの自由度の分離が起きて、それぞれがc=1のCFTで記述可能。この時電荷はU(1)で、スピンはSU(2)(K=1)。
実験系としては、いろいろある。Quantum wireからナノチューブ、QHEのedge state,cold atomまで。ただcold atomではまだTLLは見えてないらしい。

その後は近藤効果について。まあ歴史の下りでは川上先生の仕事(やはりすごい人はMの頃から良い仕事をするのだなあ)に加えて、ぽいぽいど偉い人達の名前が上がってて来てて震えた。Wenが毎週論文一本書いてたとか狂気としか思えん。
肝心の物理の中身はAnderson modelをHF近似で。平均場といえども捨てたものではなくて、金属に磁性不純物入れた時の磁性の有無ぐらいは説明できる。ただ勿論これは比較的高エネルギー側で正しい近似で、低エネルギーで効いてくる相関効果を考えるには進んだ扱いが必要。

明日は近藤効果の残りと動的平均場やってお終いらしい。

終了後は朝の議論の続き。始めてSkype議論を経験したが、聞き取りにく過ぎ。ただでさえ無理な英語が完全に聞き取れなくなる。しかし話(正確にはそのスケールのみが)が(現在の自分のやってることの)中身を超えてどんどん拡大している気がして恐ろしい。