2012.06.26

26日

川上先生の集中講義1日目。B4の時夏の学校をスルーして以降、もうこの先授業を直接受けられることなどありえないと思っていただけに、今回こうして自分が物性理論を志向したきっかけ一つの人の授業が直接聴けるのは本当に嬉しい。

中身はまずはFermi流体と朝永-Luttinger流体の違いを定性的にやってから共形場理論へ。前半が超定性的な一方で、後半はジャンプだらけで落差が強烈なのが印象深い。以下間違いだらけかもだがメモ。間違いについては是非指摘して下さい。
流れとしては、1次元だとゆらぎが強いからT=0で臨界的で、この時(1+1次元での)並進・回転対称性に加えてスケール不変性が現れると。このスケール不変性には大域的なものと局所的なものがあって後者を共形不変と呼ぶと。特に1+1次元だとこの共形不変性はCauthy-Riemannと同型の正則・反正則分離がなされた写像に対する不変性になるんだが、こうした変換の生成子の満たす代数が共形代数。
で、ここからが尚謎になるんだが、場の理論で言うところのstress tensorが、(上で出てきた回転対称、並進対称、スケール不変の要請はstress tensorの正則・反正則分離の条件として書き直せる)を使って生成子を構成できて(この形がどこから出てきたのがさっぱり)、
その代数は通常の共形代数ではなくておまけの項がついてくると。これが量子異常項(上の導出が取っ払われてるのでどこで量子の話になったのかも謎)で、これがVirasoro代数。
この量子異常項の係数がセントラルチャージと呼ばれる超重要なやつで、これで系のユニバーサリティクラスが定まるのだと。特に1より小さい時は極めて限定された値しか取らないように決められるみたいで(ここも導出がないので謎としか言いようが無い)、離散対称性を反映してるよう。c=1/2ならイジングとか。cが1以上だと連続対称性に対応するんだが、この時はこれだけだとどんぴしゃりでは決まらなくて他の情報が必要らしい。
で、Virasoro代数を満たす生成子を用いて状態を分類したいんだが、この時のスタートがプライマリー場と呼ばれる奴で共形変換に対してある規則を満たすものだと(スケーリング則ライクに見えるがそれで良いのか?)。この変換で出てくる指数が共形ウェイトでまあ臨界指数みたいなもんだと。で、プライマリー場にさっきの生成子(の内生成側に対応するもの)をどんどんかけていくと順々に新しい状態が作れるよ、というのがあってそうやって出てくる構造がプライマリータワーであると(タワーの同じ階層にある状態はどう特徴付けられるのか?)。いう感じか。ヘビーだった。

全然関係ないが、今日書籍部で見たNHK将棋講座の藤井先生講座が素晴らしかった、というか率直に言えば無駄遣いなのだが、説明が無茶苦茶クリアで例によって驚かされた。将棋本らしからぬrationalな感じ。
正直、トップ棋士がトップ棋士たる所以は他の大多数の人がおよそ考えつかないような所を考えている、というのが大きな要因の一つだと思うが、それを(ある程度)言語化するという能力に関して(少なくとも他のトップ棋士と十分な差別化が起こっているという意味で)一線を画しているのは今のところ羽生二冠と藤井九段しかいないと思う。という訳で王位戦は毎局自戦記書いて欲しい。