ナイン・ストーリーズ

だいぶ昔に読んで以来の再読。
あまりに有名な最初の作品に始まり、苛責ない現実に苦しむ「非常に若い人たち」の姿を描いた話。どの話をとっても、描写が驚くほど鮮やかであり、余計なものをそぎ落とし凝縮し尽くしたといった感じで、その密度の高さは各話読み終えるごとに、もうお終いという事実に驚かされるほど。
全体としてみても、初めの「バナナフィッシュにうってつけの日」からの一貫した主題が、最後の「テディ」で見事に反転される様は見事という他ない。
多分これから先もずっと折りにふれて読み直し続けるであろう作品。

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)