知はいかにして「再発明」されたか

知識の保管や伝達の方法について、古代のアレクサンドリア図書館から始まって、修道院、大学、文字の共和国、専門分野、実験室という6つについて歴史を追う形で論じた本。

大量の資料を集め、照合と編集を通じて体系的な原典を作るという、学問の基礎を構築した図書館についてや、単に人里はなれた知識の保管庫としての修道院ではなく、終末思想などの宗教観からくる時間の概念の開発とそれに伴う知の発展、また本書がおそらく独自の視点として重要視しているであろう、手紙を媒介とした「文字の共和国」という概念と、同時に発展しつつあった印刷技術との対比についてなどは非常に面白く読めた。

しかし最後のほう、特に実験室などになると、現代に近づくせいかは不明だが、バイアスのかかった印象を受けた。理系の「実験室」の発展についてもっと丁寧に書かれていても良かったと思うが。

知はいかにして「再発明」されたか

知はいかにして「再発明」されたか