将棋

久々に将棋について。と言っても以前のように内容についてではない。
昨日の名人戦朝日新聞社が委託したフリーの観戦記者が対局中、自分の手番で考慮中の羽生名人に扇子へのサインを求めるということがあり、その場面が衛星放送に流れたということもあり騒動になった。
 http://www.asahi.com/culture/update/0410/TKY200904100319.html 
 どうやらこの「フリーの観戦記者」、数十年来観戦記者の仕事をやっている方らしいのだがそのような人にしてこのような対局者に礼を欠いたことをやってのけるのかと思うと呆れざるを得ない。その後のコメントも「郷田さんの手番と思っていた。うかつだった。」とのことだが、盤を挟んで将棋を指しているのだから相手の考慮時間といえどもフリーの時間ではなく、対局に従事していると思うのが普通の感覚であり、私事で扇子へのサインをお願いするなどはっきり言って言語道断だろう。迂闊とか不用意といったレベルの話ではない。
 どうも将棋の観戦記者、また将棋雑誌の編集者などは棋士と近しすぎ、それが原因で礼節を欠いてる部分があるのではないだろうか。具体的な例をあげることはしないが、特にここ2,3年の将棋世界などは記事を扇情的にすることばかりに重きが置かれ、内容が軽くなるばかりでなく取り上げられる棋士たちについても敬意は感じられず、扱いも記事のネタとしてのそれとしか思えない内容のものが少なくない。話が脱線気味だが将棋世界の内容の低下についてはいずれもうちょっとちゃんと書くと思う。
 今回のような観戦記者の問題行為にせよ、また将棋雑誌の記事の内容にしても率直に言って観戦記者のプロ意識の低さから来ているように感じられ、またそれは将棋界の閉鎖性(棋士という被取材者と取材者が悪い意味で近すぎる)から来る「なれ合い」の発露に思えてならない。

 後非常に気に入らないのが今回問題となった方の名前を出さないこと。このようなお茶の濁し方はないのではないだろうか。
 
 ここ数年毎年名人戦の時期には何かしら大なり小なり盤外でのトラブルが起こっている気がする。一番気疲れするのは無論対局者だろうが一ファンとしても将棋に集中したいという思いが強いのでこういうことが起こると実に残念な気分になる。