将棋

 以前から読ませてもらっている某ブログで駒落ちの話題が出ていたので少し駒落ちについて書いてみたい。ここ数カ月は強豪(誇張でなく並大抵ではない)と指し込み制での駒落ちをやる機会に恵まれていたこともあるので、自分自身のためにも軽くまとめておこうと思う。以下では二枚落ち、飛落ち、角落ちについて簡単に触れます。

・二枚落ち
 この手合いに関しては先人の作った定跡があまりにも素晴らしいと思います。はっきり言って他の指し方を試みる気はしない。銀多伝の優秀性がよく取り上げられるが二歩突っ切りもわかりやすく、優秀。イメージで言うならば銀多伝は圧倒的に負けづらく、二歩突っ切りは早く明快に勝ちに行く感じ。個人的には二歩突っ切りを愛用してます。
 思うに定跡をきちんと覚えるという行為がもっとも勝負に反映されるのが二枚落ちではないでしょうか。ちょっと苦しいかどうかという手合いでも定跡の力で勝てることがあるゆえに愛される手合いの気がします。

・飛車落ち
 このあたりから上手も将棋を指している感じがするのではないだろうか。正直二枚落ちとは雲泥の差。まずよく言われることだが定跡の右四間は良い戦法ではないと思う。上手が金銀3枚を
集中させ、さらに△2二角△3三桂の愚形で受けているところを真正面から攻めるのは率が悪い。居飛車で引き角、または山口瞳氏の用いた戦術(右四間風味から6筋の位を取り玉を右に移して持久戦にする)が優秀な気がします。普通の振り飛車も悪くない。

 と、ここまでは当たり障りのない話。指導将棋の多面指しとかなら戦法はこちらが好きに選べるので上記の戦法でも使って指せばいずれ負けなくなると思いますが、角を換えて力将棋に持ち込むような、なりふり構わぬ上手をしっかり倒すのは本当に大変です。実際上で触れた強豪には
ほとんど勝たせてもらえません…

・角落ち
 二枚落ちと並んで駒落ちの華という印象があります。下手の定跡も三間飛車中飛車、矢倉と
平手でもよくみられる戦法になってくるのはそれだけ平手と近い手合いということでしょう。昔指導将棋などで角落ちを所望していたころは、三間飛車が最有力と思っていましたが(実際それでまあまあ勝てた)現在はそれはあくまで指導将棋レベルでの話だと思っています。
 
三間飛車が優秀と思っていたのは
・どうせ金で角頭を狙ってくるのだから7筋を守っておくのが率がよい。
・玉が圧倒的に固く負けづらい。上手と違い陣形に進展性もある。
・矢倉は上手にイニシアチブを与えるので損。(これは僕が振り飛車党なせいも多分にあるが)

というわけだったのですが、実際には

・上手の右玉が非常に優秀。指導ではあまりやられないが手を作りにくく、下手に攻めると盛り上がられて手も足も出なくなる。右玉は手もそれほど詰まらないので一方的に陣容勝ちが望めるとは限らない。

 これが嫌で三間飛車は自信がなくなってしまいました。上手が左玉から無理な動きをしてくれるのなら三間飛車は最も勝ちが早い戦法と思いますが…角落ちは三間飛車で楽勝というのは失礼を承知で言えばやや荒い考えといえます。

中飛車には三間飛車よりも右玉はやりづらそう。これが良いかと思っていた時期もあったが今度は一目散に駒を繰り出して角頭を狙う急戦がやや気になる。これに自信があれば中飛車は非常にいい戦法と思う。

という訳で今は矢倉が最善と思っています。自分で指していると、上手から攻められるのは非常に恐ろしいものですが他の人が指すのを冷静に見ていると、上手の攻めも一歩間違えれば完全に切れてしまうような命がけの攻めです。加えて上手の囲いは金無双レベル。これをしのぎ切り、的確に反撃を決めるのが角落ちの理想ではないかと思っています。