将棋

佐藤棋王ー久保八段の棋王戦第一局は久保八段の勝ちでした。
戦型は後手久保のゴキゲン中飛車に対し、先手佐藤の▲３七銀型の急戦。

　類似形において自身が後手を持って、順位戦で郷田九段相手に完敗を喫しているだけに用意の作戦でしょう。以下△４四歩▲４六銀△４五歩▲同銀△４三銀と進みましたがこれが新機軸のようで歩越しの銀を捕獲する狙いです。このあとは後手は銀桂交換の駒得を主張し先手はその代償を別の点に求めるという流れですが、▲９六歩、▲９五歩と△８二玉△７二金の交換は後手がだいぶ得をした印象があります。▲２五歩、▲５六歩を急いで後手に玉の安定を許さず桂跳ねを催促できなかったのでしょうか。
　本譜も▲５六歩から決戦となりましたがこうなると後手の玉が非常に固い。左桂が銀と換わるということもあり、振り飛車互角以上になりそうな印象があります。

　進んで△４四角打の局面は振り飛車捌け形と言ってよさそうです。

　以下はこの２枚の角をたたき切り、小駒の攻めを細いながらも巧みにつなげて後手の勝ちとなりました。初戦かららしい将棋で、久保八段は快調といえそうです。一方佐藤棋王はこの将棋に関してはやや不調な印象がありますがこのままのはずもなく、次局以降は期待に違わぬ激しい斬り合いが堪能できそうです。