屍者の帝国

プロローグ(と幾らかの資料)を残して急逝した伊藤計劃の後を引き継ぐ形で円城塔によって書かれた、というエピソードから型破りという感じだが、内容も、装飾過多の嫌いすらある知識やネタ、やり過ぎなぐらいのキャラ立ちに加えて随所に溢れる統計物理・非線形屋さんの香り漂う思想と、てんこ盛り状態(メインの筋は予想外でこそあれどすんなり、という感じではあったが)。そして最後の件での自己言及。胃もたれ気味ではあるが、面白かった。作者どちらに対しても、はじめて通読するのがこれなのが適切かどうかというのはあるが。

どうでもよい話だが、本書を機内のお供に読んだが、中身の方も英−アフガン−日本−米−英と世界狭しの一巡りであり、内容も長時間一息で読み切る系であることといい、正にこれしかないというタイミングだった。