「社会調査」のウソ

ともすれば結果だけが取り沙汰される「社会調査」についてはその妥当性が疑わしいものも多く、相当慎重かつ批判的に見ないとだめ、という本。

ためにならないことは無いのだが、本文で取り上げられる例などを見ていると、どちらかというと社会調査の手段の不備によるもの(それが報道などから得られる情報から透けて見える者)よりも、対象とそのドメインの性質に起因する問題へ想像力を働かせるところの方が重要(かつ自分にはそのあたりのある種社会調査の枠から見て「メタ」的なところの検討が難しい)、という話にも見えなくもなく。

 

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

 

 

プーシキン美術館展

タダ券を手に入れたので先週行ってきた。が、こちらのピントが合っておらず、思ったほどではなかったか。気に入ったのはコルテス「夜のパリ」、シスレー「霜の降りる朝、ルーヴシエンヌ」(「ダージ」のジャケか、とか言いたくなってしまう)。

将棋界 20代の逆襲

高見新叡王誕生記念、ということで。

つい最近公開されたインタビュー、とても面白いので宣伝。

 

news.livedoor.com

これを読むと、確かに応援したくなる。今回のシリーズはまくりだらけだった、とはいえ今後に期待したくなるところである。

で、(例によって)度肝を抜かれる、というかここまで言うのか、という感じで打ちのめされるのが次の永瀬インタビュー。

news.livedoor.com

 

彼の語りは読み手にも覚悟を要求される節があるというか、こちらの精神状態が整っていないと読むのがきついところもあるのだが、本物のプロ意識(のあり方の一つの極値)をひしひしと感じさせられる。(院生のときに一部の人を見て感じた思いに近い)

それはそうと、これだけのことをインタビューで言わせる手腕、というものにも改めて驚く次第。これまでに本になったものは(悪い意味での内輪ノリが目立ち)それほど面白くない印象だったのだが、これは今の所大変面白く、今後にも大いに期待。

 

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

先日行ってきた。終盤かつ連休だったのでえらい混みようでしびれた。

しかし、中身は当初の予想を上回るものであった。初っ端のフランス・ハルスの「男の肖像」の印象派との類似性、という指摘であるとか(デカルト肖像画の作者か!ということに後に気づく。しかし複数回絵を見ているにもかかわらず、こういった所に気づくことはまるでなかった)、歴史的な位置づけを与える構成全体など。絵の点数は多くはないのだが、良かった。特に気に入ったのはセザンヌ「庭師ヴァリエ」、ゴッホ「日没を背に種まく人」(どちらもひと目で参ってしまった)。

 

ボルヘス怪奇譚集

寝る前にちまちま読んで先日終了。(ホラーとかの印象がちらつく)「怪奇」というより「怪異」とか「怪力乱神」とかのイメージ。

読み出す前は軽い気持ちで手に取り完全に油断していたが、初っ端の「死の宣告」で強烈なパンチを貰う。ただ、その後はそれ程でも、とか思っていたのだが、「ふたりの王とふたつの迷宮の物語」を目にしてまた油断ならない、と言う気分に。(「アレフ」に同じものが載っていたが、してみるとこの本はどこからどこまでが他の出典によるものなのやら…)

 

ボルヘス怪奇譚集 (河出文庫)

ボルヘス怪奇譚集 (河出文庫)

 

 

太陽がいっぱい

連休中に日本橋で見る。

見ている間はアラン・ドロンの超絶美にひたすら感嘆することしかしていなかったが、どうも終わってから調べた所、色々含むところのある映画である(ボートで隔離の結果、リプリーがひどく日焼けするのが、とか言われても全く見ている時は気づかなんだ)だとか、それだけではなく構成的にも良く出来たもの(最初と最後の対比とか)であるとか、色々もっと見るべき所はあった様子。

2018.04.07

高校の同級生の結婚式であった。いわゆる中高の部活をともにした人の、こういった場に呼ばれるのは初めて。最近はヨッシーアイランドの「ビッグけめくじ」も吃驚の心臓への毛の生え方ぶりなので、知人の結婚でどーこー言うこともないのだが、数週間前に「中高」、「☓☓(高校の名称)」などでこの日記上で凄まじく検索が行われた後が見えたので、(大したことは書かないが)一応。

場所自体は某名人戦でおなじみの所で、死ぬまでに行ってみたいと思っていた所であったので、こうした機会に行けてラッキー感はあった。確かに(近場にも関わらず)落ち着いた感じのよいところ。

式自体は、そうですね、新郎新婦二人のチョイスだと思うのですが、曲を(式場で準備されているものと思しき、ありきたりのポップな曲をかけるのではなく)ミュージカルからのものにしていたのが良かったと思いました(ラインナップのうち元が分かるものは少なかったが)。結婚式の曲で(自分のチョイスで曲を選ぶという発想がなかったので)終わってからは、プログレ縛りで、こういった場面に使って大きな違和感を生むことなく、式中のBGMを構成することは可能だろうか、などとどうでも良いことを考えていた(結構できそう)。

その他色々な面について、どことなくimplication(というと大げさかもしれないが、非常に広いスペクトルで、こういった考えであるとかこういった文化的背景が、こういった現実の形に結実しているのだなあ、的なものという程度の意味。暗示、というべきか)を感じる場面はあったのですが、そういったものを含めて思い出に残る良い式であったのではないでしょうか。