マンガ熱

期せずして似たような本が続くが、こちらも大変面白かった。こちらも正直文句を言えばバチさえ当たりそうな面子であるが、特に面白かったのは、藤田和日郎(おそらく本書のハイライト)、荒川弘大友克洋か(連載時に立ち読みしつつ、途中でキャッチアップが止まってしまった「からくりサーカス」と「鋼の錬金術師」が改めて「死ぬまでに読むリスト」に入った)。

本筋ではないが、本書で効果を上げている点として、インタビュアーが非常に深い知見を持っており、それを活かして懐に入っていくようなやり方があり、それが非自明な価値を出すことに結びついているように見えるというのには(似たような場面でしばしば上手く行かず悩む側としては)感銘を受けるものであったり。

 

 

Keyboard magazine 2017年7月号

特集記事の「ゲーム・ミュージックのメロディ職人たち」の面々を見てノータイムで購入。植松伸夫光田康典下村陽子伊藤賢治というスーファミ時代のSQUARE四天王(個人的に勝手に呼んでいるだけだが)に古代祐三HAL研(はじめて見た気がする)、近藤嶺とは有難すぎて言葉もない。

複数人のインタビューに共通して出る概念として、やはり「多様性」(ごった煮感)というのと、「制約の中での創造」というのがあり、やはりこれらはきわめて本質的な所であるのだな、というのをあらためて。

個別のインタビュー自体も感じ入る所は多過ぎる(いずれも超絶一流なので当然だが、凄まじいプロフェッショナリズムを感じさせられる)ので、深夜に読んでおると正直全人類必読(©綾辻行人)という気になりさえする(言い過ぎだが)。

 

Keyboard magazine (キーボード マガジン) 2017年7月号 SUMMER (CD付) [雑誌]

Keyboard magazine (キーボード マガジン) 2017年7月号 SUMMER (CD付) [雑誌]

 

 

 

 

バッタを倒しにアフリカへ

サバクトビバッタ研究者である著者の、アフリカはモーリタニアでの奮闘記。

虫の写真こそたくさん出てくるが、研究の詳細的な話はあまりなく(一方でサバクトビバッタの相変異の話はかなり興味を惹かれる)、研究をすすめる上で非常にタフな環境で、どのように知恵を絞り、気持ちを切らさずにやっていくのか、という所を冗句を交えつつ語るというもの。

著者の(並大抵ではない)強靭さと前向きさのおかげで楽しく読めるが、冷静になるとなかなか胃の痛い話(初っ端の、これまでラボでの実験をメインでやっていながらいきなり(英語の通じぬ)アフリカに行ってフィールドワークを一から始める、と言う部分だけでもキリキリ来る感じではある)ではあったりしつつ面白く読む。

しかし(異分野過ぎて判断力が皆無なのだが)圧倒的なコミュニケーション力(変な意味が付いてしまった言葉で使いたくないところもあるのだが、圧倒的アウェーの地において、あらゆる手段を使いながら目的を達成していく様を見るとこうしか言いようがない)、本書それ自体をはじめとした(非専門家向け)優れたアウトプット能力(賛否両論はあるだろうがファンド獲得という側面からは明らかに重要)、(海外学振⇒白眉とかなり強力に見える)経歴を持ってしても、これほどまでにハードモードとは。

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

 

 

このあいだに なにがあった?

 二つの写真(ある出来事の起こる前後の写真)を見比べて、その間に何があったかを推定する、というコンセプトの絵本。

コンセプトだけ見ると「心の理論」臭が半端なく、どきどきしながら読み進めたが、それほどではなかった。風呂場の所はわずかに面白かったが。(湯船の中にあったおもちゃが次の写真で外に出されている理由を見つけるという問で、さりげなく湯船の水面が変わっているのを見て、人(親)が入って水をこぼしたことで湯船の中のおもちゃが湯船の外に追い出されたことを見つける)

このあいだに なにがあった? (かがくのとも絵本)

このあいだに なにがあった? (かがくのとも絵本)

 

 

応天の門 7

もはやあまり謎解き的要素はなしか(ゼロではないのだが)。

 

応天の門 7 (BUNCH COMICS)

応天の門 7 (BUNCH COMICS)

 

 

 

アンタッチャブル

3週間ほど前に午前10時の映画祭で。近場で券が取れず立川まで行くが、音響の良い映画館で見て大正解であった。実に良い。

戦前のアメリカはシカゴ、禁酒法時代に密造酒で大儲けするためなら非道な手段も顧みぬアル・カポネに対して挑む刑事たち、とストーリーは単純明快、アメリカンな感じだが全体に一貫して流れる人間賛歌的な思想のもとでの名場面の連続(最後の見せ場の駅の部分はそれほどまで、と言う感じ。むしろ橋の場面の方が良いのでは)、かつエンリオ・モリコーネの音楽が素晴らしく、大変楽しんだ。

 

-2017.06.11

ここ数週間体調的にも精神的にも落ち込む側に揺動が激しく、割と駄目な感じであったが、漸く駄目もとというか、持たざる者の論理、という方に一種の諦めが働きつつある。

ブログ、と言う意味で言えば書くこと自体に強い動機があるというわけでなく、一つの記録手段として行っている以上、空白期間が長いと戻ってこれなくなってしまうというのを感じつつあるので、雑でも良いので残すことは大切な気がしている。